深い森にはニンフ(妖精)が棲んでいて人間の生活を助けているといわれる。特に、目には見えない恩恵のひとつは人々に幸せを運んでくれる。さらに、森のあらゆる生命と森の営みを管理していると信じられてきた。ただ、ニンフ(妖精)は環境に左右され弱い生き物でみだりに近づいてはいけないという。
そのニンフ(妖精)とは蜜蜂のようである。蜜蜂は古来より樹木の花を中心に蜜を集め、草花の蜜も集め木や草花の授粉を助けることで多くの種子が森に実り、山や野に後継の草木の芽吹きを導いてきた。
その植物の種子はカプセルであり時間軸(縦軸)と広がりの(横軸)を移動している。時間軸では2,000年でもカプセルに入って旅することが出来る。また、横軸では上昇気流に乗って大空を移動し、河川により流され肥沃な土壌を求め、大海に出て生育地に至り芽を出すこともある。
その日本蜜蜂の生態を覗いて見ると、女王蜂は条件が整っていれば1日に2,000個の卵を産卵する。幼虫は花粉と蜜を練った餌で成長し、蛹から脱皮し最初のお仕事は幼虫保育と巣の清掃を行う。ついで、花粉集めのお仕事をするころは働きざかり。少し老齢になると巣の門番と新しい住まい探しを担当する。この間約2月半で寿命を迎える。巣の近くで死ぬと天敵を呼び込むため500m程離れた場所で死を迎える。女王蜂は約2年程生きる。巣内は上部が蜜の貯蔵場所で下部で子育てする。春に、正常な巣では女王蜂が3~4匹生まれ約2,000匹から5,000匹をつれ新しい巣に旅立つことで広い場所の授粉が行なわれることになる。
一般に、蜂は人を刺すが日本蜜蜂は人を刺すことは殆んどない。ただし、中間が殺されたりすると毒針から危険フェロモンを出すことで巣の防衛を行う。このときは人を刺すことがある。なお、日本蜜蜂はゆっくりと動くと殆ど人間に害をおよぼすことはない。
年間を通じての蜜集めは、春は梅や桜、初夏にはブナ、カエデ、クリ、クヌギ、ミズナラ、ケヤキ、アカシアを中心に小さな花の花粉や蜜を集める。多くの日本蜜蜂が生息する森は多くの木の実が生産され豊かな森が出現する。