1.木縄に従えばこれ正しい
曲がって使い物にならない木でも墨縄で真直ぐに線を引けば良材を得ることができ
る。何事も正しい意見を聞いて行えば過ちがない。
2.木六竹八アヤメは五月が伐り時
古来、杉桧は6月ごろに伐採し、樹皮を剥ぎ葉がらしを行って乾燥したものを搬出
し用いた。竹の春は9月といわれ8月に伐ると害虫が竹に入りにくいとのこと。アヤ
メは花が終わってからが株分けに良い。
3.夏山には犬も入らない
夏の山には血を吸うオロ(虻の仲間)が大量発生している。さらに、真夏の暑さは
重労働で人は山に入りたがらない。
4.山のことは山を見、木のことは木に聞け
木を見て山を見ない人、山を見て木を知らない人がいる。山の土質、傾斜、水の流
れ、従来の植生を考え山を見て歩くことが必要である。木は適地であれば生育も良く
巨樹になる。その場所は木の生育状況で判断できる。
5.森でたけたる木は風に弱い
山の高い木は大風で倒れたり折れたりする。人もたけたる人は嫉み、嫉妬に気を付
け用心する必要がある。
6.適材適所
神武天皇が家臣から何処にどの様な木を用いるべきかを尋ねられたおり、杉は舟
に、桧は神社に、槇は棺桶に、松は橋に適材適所に使うと良いと云われたと聞く。
7.山椒の芽が膨らむころが杉皮の剥ぎころ
山椒の芽が膨らむころはどの様な木も休眠から覚め樹液が活発に移動し皮剥ぎが容
易になる
8.一雨千両
森に必要な木は植えて置けば一雨が降る毎に太り何れ大木となりお金になるとゆう
たとえである。
9.木を伐らぬバカ、木を植えぬバカ
木は一定の次期(杉は50~60年)でためらわず伐採し、次の世代の木を植えるべき
であるとの教えである。
10.人生の計りごと
1年の計は田をつくり、50年の計は木を植え、100年の計は人を育てることであ
り。それぞれの目標をもつて進めば得るものも大きい。
11.イチョウが黄ばむと麦播き時
麦を蒔く適期は幅が狭い。そこで地域によりイチョウの黄ばみごろを見て麦を蒔け
という口伝。
12.曼珠沙華の花咲く時は蕎麦播き時
そばは生育期間が短く蒔いて75日で収穫できる。そこで霜にあわず生育が良い適
期を伝えるものである。
13.桐の花咲き豆を蒔け
桐の花が咲く頃には霜が降りず豆を蒔いても安心であるといわれている。
14.接木はヤマザクラの開花時におこなえ
その年の気候によって接木に適する時期が異なるのでヤマザクラの開花に合せ接木
を行なえといわれる。ただし、接ぎ穂は寒に採取し濡れ新聞に包みナイロンの袋に入
れ冷蔵庫に保管したものを用いる。
15.春の彼岸に挿木
スギ、ヒノキ、ビャクシン、落葉樹は彼岸のころが適期。常緑樹は8月下旬が活着
成績が良い。
16.杉は谷に、桧は腹で、松は峰
言葉とおりである。杉の生育範囲は狭い。桧や松は共生菌がいないと生育が悪くな
る。この共生菌は土中の酸素の多い場所を好む性質があることから言い得ている。
17.山を買うなら北向き山を買え
北斜面の木は生長は遅く年輪が詰り良材を得ることができる。さらに、北斜面は適
潤で背丈の高い木が育つことや害虫の発生が少ないことからの言伝えである。
18.ションベン山に杉植えよ
湧水や地中の流水がある場所では杉の生育が良いことからいわれる。しかい、滞水
地で水が流れない場所では杉は枯れることが多い。
19.地下に水の流れがある所には巨木欅が育つ
欅の調査をしてみると巨木欅がある場所には近くに小川や地下水の多いところが多
い。広島に原爆が投下され最初に芽吹いたのがススキ、次に欅であった。この欅は根
から芽生えていて約300m離れた所に立つ欅の根であった。
20.木は水きめ法で植えよ
植穴を掘り水を穴に入れ植木を入れて植えると根と土が密着し植え傷みしないこと
と干天続きでも枯れない。又は植える前にポットごと水に漬け根から空気が出る程に
するのも良い。